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魔法をかける編集

魔法をかける編集

2018

“編集”という言葉を聞くと雑誌や映像が思い浮かぶと思いますが、人に何かを伝えたい時に頭の中で整理してから話すとか、どうやって効率よく家事をしようかなど、日常生活すべてが編集の連続だと言われています。
そんな“編集の力”を問題解決に役立てようというのが今回の推薦書“魔法をかける編集”です。

一過性で終わるイベント、伝わらない商品、ビジョンのないまちづくり…
足りないのは、編集です! 
〜帯文より〜

「僕は、編集とは魔法であり、編集者は魔法使いだと本気で思っているのですが、これまでは一部の人だけが持つ特権的能力として扱われてきたように思います。しかし編集力というのは、すべての人がすでに備えている能力であり、意識することで鍛えられるものなんです。」と著者の藤本智士さんは言う。地方の仕事が多いと言う藤本さんは地方創生の名の下、各地で様々なプロジェクトがスタートしては、まるで何事もなかったかのように消えていく様をいくつもみてきたそうです。たとえば、「うちの地域でもこんなミニコミを作るんだ」「こんな映像を作るんだ」「こんなイベントをやるんだ」と最初の熱量に反してしりつぼみに終わってしまうのは、それを作ることが目的になってしまっているのが原因で、結局作ったあとが大切で、必要なのは「ビジョン」と「謙虚さ」だと語られていきます。

“手前の目標ではなく、理想とする未来の強いビジョン。”

ビジョンとは、いくら売り上げをあげるかとか、何人動員するかとか、何回再生されたかなどの数字で表されるものではなく、どういう世界にしたいかというイメージそのものと綴られて、“文章を扱わない編集者”という章の中で日本酒会の革命児、高橋藤一さんを例に挙げて説明されています。秋田の「雪の茅舎」というお酒の杜氏の高橋さんは、これまで、酒造りにおいて欠かせない工程の一つとされてきた櫂入れ(発酵を均一にするために大きな樽やタンクの中に櫂棒を入れて搔きまわす作業)に疑問を持ち、蔵元に迷惑をかけてはいけないと、ひっそり実験を繰り返した末、ついに櫂入れの工程が不要であることを実証します。いまでは、人間が櫂入れするよりも、微生物の自然な対流に任せた方がよいという高橋さんの考えが、業界に浸透しつつあるそうです。誰もが受け継がれた技術を守ることを信じて疑わない業界で、一人、未来の酒づくり、未来の蔵、未来の日本酒業界のビジョンを描き、微生物の循環を人間が邪魔しない自然な酒づくりと、そうやって生まれた純米酒(醸造アルコールなどを添加しない、コメと水で造られたお酒)こそが、日本酒の世界の主流となる。そんなビジョンを想像し、日本酒をローカルメディアとして、お酒を編集している高橋さんを扱うメディアは違えど、編集者の大先輩だと熱量たっぷりに紹介し、宮大工の方のような、100年先、1,000年先とまでいかなくても、せめて5年10年先を想像して、何かを選択し行動することがもっと多くあるべきだとまとめられています。“編集”のテクニックはさまざまな事例をもとに説明されているので、ぜひ手にとってご覧いただいきたいです。

最後に、“最後に”という章の中で、「編集で大切なこと、それは待つこと。」とありました。
スペイン語で「待つ」という意味の「エスペラール」は、希望という意味の「エスペランサ」と語源が一緒だそうで、
待つ=希望を持つことだと。情報も仕事の流れも早いこんな時代だからこそ一番難しいかもしれませんが、
思うようにいかず、つらいときはこそ、この「待つ」を実践してみてはどうですか?

果報は、寝て待て!?

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