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発酵道ー酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方

発酵道ー酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方

2018

先日放送されていた、NHKスペシャルシリーズ人体“腸”観ましたか?
なんでも、腸は“第二の脳”とよばれていて、脳に次いで神経細胞が多く、腸に住む、“腸内フローラ(腸内細菌)”は肥満解消、美肌、ダイエットなど、体によい効果を生み出しているそうです。今回オススメしたい “発酵道ー酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方”は微生物から、生き方を学んでいくちょっと変わった推薦書。

著者の寺田啓佐さんは300年続く老舗の造り酒屋に婿入りします。その後、経営の破綻と病気(暴飲やストレスにより腸が腐るという大病を患う)を機に、自然酒作りに転向。自然に学び、原点に帰った酒造りをしていきます。その学びの中で、「発酵」と「腐敗」という2つの要因が、すべての物事を考えるものさしとなり、著者自身が生きるうえでの指針になっていきます。「発酵すると腐らない」というすごく当たり前なことに気づいた著者。ナスやキュウリもそのまま放置していればいずれは腐敗してしまうのに、ぬかみその中に入れればいつまでも腐らない。味噌や醤油も、製造過程で腐ったなんて話はなく、その理由は発酵しているからにほかならないと。そして、日本酒はこの「発酵」の力によって造られていて、その工程は「一 麹、二 酛(酒母)、三 造り」と言われ、コウジカビという微生物が米のデンプンを糖に変え、「酒母」という微生物がこの糖をアルコールにしている。こうやって自然の法則の中で腐敗を防がられながら、完成する日本酒にも、「火落ち菌」という細菌によって、腐造(蔵ごと酒を腐らせてしまう)してしまう蔵も昔は多かったそうです。そういった事故を防ぐために、人工的に乳酸を加えて安定した酸性状態を作ったり、火入れといわれる加熱殺菌をしたり、終いには蔵ごと塩素消毒してしまう蔵まで出てきてしまった。
「腐敗の原因は蔵の菌のバランスが崩れたことが原因ではないか。微生物たちの調和した世界を、乱したのは何か?」と著者は考えていきます。その中でわかったことは、酒造りに優れた微生物が楽しく働ける場を整えれば、発酵が発酵を呼び、腐ることなくおいしい日本酒ができる。これは著者自身の体も同じだったと語られて、腸内には、からだに良い働きをする善玉菌と、腐敗物質を生み出す悪玉菌、そして善玉にも悪玉にもなりうる日和見菌(ひよりみきん)が存在していて、善玉菌を発酵菌、悪玉菌を腐敗菌に例えると、日和見菌は、発酵菌の元気がいいときは、発酵の働きをし、腐敗菌が多くなると一緒になって腐敗の働きをするという菌で、著者の腸が腐ったということは、酒蔵でいえば、仕込み中に酒を腐らしてしまう「腐造」という現象が起こったのと同じと説明している。ちなみに腸内の腐敗菌が増えた原因は肉食過多の食事に大量のタバコ、不摂生な生活、そして身の傲慢さとあり自分にも当てはまるところが多かった。
(肉や卵などの動物性タンパク質や脂質が消化不十分で腸に入ると、腐敗菌の作用で腸が腐敗するそうです。)

これらの経験を通して、人間の気持ち、意識にも当てはまることだと語られていきます。
“微生物をお手本にして”という章の中で「微生物たちの世界は、弱肉強食の世界ではなく、相互扶助の世界ではないかと思う。自分と異なるものや、嫌いなものを排除したりしないで、助け合い、支え合いながら仲よく生きているように見えるし、相手を陥れようだとか、蹴落そうだとか、微生物は考えたりしないはずだ。争わない、比較しない。生存競争など、どこにも見られないのが微生物の世界であり、まさに生命の結び合いの世界なのだ。」と説いていました。
この「発酵」の素晴らしさを発信続けて、2012年4月18日永眠された、寺田啓佐氏が残された本書。
花粉症に効くと言われているR—1でも飲みながら、微生物のラブ&ピースな世界を覗いて見てはいかがですか?

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