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「のび太」という生きかた

「のび太」という生きかた

2018

もうすぐ三月、春といえば“お花見”と、僕は“映画ドラえもん”。
今回はのび太くんにスポットライトを当てた “「のび太」という生きかた”が推薦書です。

著者は富山大学で「ドラえもん学」を研究している富山大学の名誉教授、横山泰行氏。
6年間にわたり、年平均2000時間費やし「ドラえもん」を調べていくなかで、のび太の言動を詳細に分析。
その中で多くの意外なことに気がついたそうです。

のび太のイメージというと、勉強はクラス最下位、野球の打率0.01、ジャンケンは勝ったこともなく、いつもジャイアンとスネ夫にいじめられている冴えない男の子。ではないでしょうか?しかし、そんなのび太は映画では、大活躍するヒーローとなり宇宙や仲間を守り、友達には信頼され、あのジャイアンやスネ夫ものび太を大切な仲間として、遊ぶときには必ず声をかけ、さらには、みんなのアイドルしずかちゃんを生涯のパートナーにします。ドラえもん単行本25巻の『のび太の結婚前夜』では、のび太との結婚に不安になったしずかちゃんに対し、彼女のパパはドラえもんマンガ史上もっとも心に響くアドバイスをします。

「のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ。あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね」
この話を聞いた、しずかちゃんはのび太との幸せな結婚生活を確信し、結婚式に臨んだのです。

本書にはドジでのろまと言われ続けたのび太が、幾多の困難にひるまずにどのように生きて、夢を叶えたのかを様々なエピソードを例にして解説していきます。ザッと目次に目をやってみると、“仕事が遅い、キャパシティが狭い”“やることなすこと、裏目に出てしまう。”など自分ものび太君と同じと思ってしまうようなキーワードが並んでいた。

第1章“ドラえもん社会は現代の縮図”を読んでみると、「ドラえもん」に登場するトラブルの統計があり、全45巻は823編で構成されていて、その中でものび太のおもなトラブルは582編。その内訳は①友だち関係 ②のび太本人 ③家族 ④学校 ⑤恋愛 ⑥あそび ⑦金銭といった7つのカテゴリーに大きく分類でき、ドラえもんマンガには現代社会が抱える問題のほとんどが取り込まれているようです。

第3章では、“夢の叶え方 まずは、心”とあって“のび太ですら、めげない”“のび太は、悪口を言わない”“意外と、のび太に欲はない”“誰にでも優しくできる”“なんに対しても偏見がない”などのび太の物事に対する姿勢がまとめられていて思わずフムフム。

本を読んでわかったことは、ドラえもんの存在やひみつ道具はあくまでも補助であり、最終的には、のび太本人の自覚や努力が新しい人生を切り拓いているということ。ドラえもんマンガはいまだに読むたびに新しい発見があり、今やドラえもんマンガは、私にとって最高の人生の書となっていると語る、横山先生。4半世紀以上にわたって国民に愛され続けられているドラえもんは大げさな言い方をすれば、古くてあたらしい哲学書なのかもしれません。 

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