NN PROJECT

デザインの次に来るもの

デザインの次に来るもの

Life work

2017

「デザイン思考」は万能ではない。
「問題解決」だけでなく「意味」を変えることで、商品の価値を飛躍的に高める、イタリアの「デザイン・ドリブン・イノベーション」
深い「なぜ」から独自の「意味」を発見する。
〜帯文より〜

以前ご紹介した“IBMの思考とデザイン”では「デザイン思考」について紹介しましたが、今回ご紹介の推薦書はその真逆、「意味のイノベーション」についての考えていく“デザインの次に来るもの”です。

本書はEUの政策の1つ、地方の「技術を売りにしない中小企業」のイノベーションを推進するプログラムを事例として進んでいきます。あたらしい意味をユーザーに提案する「デザイン・ドリブン・イノベーション」事例としてアレッシィのワインのコルク抜き「アンナG」が紹介されています。
この「アンナG」はおもちゃの人形が楽しく踊っているようにコルク栓を抜き、1994年の発売以降、「1つは自分のために買い、もう1つは友人のために買う」と言われるほど、いまなお世界で売れ続けるベストセラーになっている商品。アレッシィがこの商品開発にあたって取った戦略は、ユーザーが日頃感じている問題の解決ではなく、新たな意味をユーザーに提案する戦略でした。アレッシィがユーザーはどのようにワインのコルク栓を抜くかをつぶさに観察していたのであれば、このような愛らしいものではなく、もっと効率的で便利な道具が考案されていたことでしょう。
しかし、アレッシィが目指したのは、ユーザーがすでに頭の中に思い描いている「いま欲しいもの」ではなく、人々がそれを目にしたときにはじめて「そうだ、これを待っていたんだ!」と感じられるようなものでした。
そのためにアレッシィは、ユーザーと一歩距離を置き、社会、経済、文化、芸術、科学および技術の進化を研究、家族の夕食における意味を見出し、それをワインの栓抜きに与えました。これが「モノに意味を与える。」事だとまとめられています。
これを読んでいて、思い出したのが、生前スティーブ・ジョブズがiPodのプレゼンで、「ポケットに1000曲入る新しいデバイスを作ったけど、こんな製品はいかがですか?」と「いま欲しいもの」ではなく、人々が「そうだ、これを待っていたんだ!」と人々に提案し(iPhone,iPadも同様に)傾きかけていたアップルをV字回復させた事も「意味のイノベーション」だったのかもしれません。

また本書では「デザイン思考」の利点と弱点について触れています。
「デザイン思考」をおさらいすると、デザイナーではない人たちがビジネスのさまざまな場面で、「デザイナーのごとく考えること」を目的として、米国のデザインコンサルティング会社であるIDEOとスタンフォード大学によって2000年代のはじめに提唱され、そこには米国のデザインにおいて、極端に「消費者の欲望を喚起する方向へ寄り過ぎたこと」への反省が込められていて、デザインを商品だけに用いるのではなく、もっとビジネスや社会全体に活かしていこうという運動だとあります。デザイン思考を実践する場合、「問題の領域自体を自分たちで探求していけるかどうか」が大きな課題になるが、その問題が抜け落ちたデザイン思考は機能しないとありました。

本書は「デザイン思考」を全否定するのではなく、それだけでは解決できない問題もあると違う視点を教えてくれます。
アメリカで生まれた「デザイン思考」とヨーロッパで生まれた「意味のイノベーション」。
どちらもそれ自体が「目的」ではなく、「手段・方法」なので、いろいろな考え方やモノの見方を身につける事が
このややこしい世の中をサバイブするには必要なのかもしれません。

#120 Tokyo Central Omotesando,
4-3-15, Jingumae, Sibuya-ku, Tokyo
150-0001
Tel : 03-6416-9412
Mail : info@high-spirit.net