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不便益という発想〜ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか?〜

不便益という発想〜ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか?〜

Life work

2017

みなさん、“不便”と“便利”どちらが好きですか?
「そんなの不便より便利の方がいいに決まっている」とほとんどに人が考えていると思いますが
不便だからこそ得られる益“不便益”という、新しい視点を身につけることができるのが今回の推薦書、“不便益という発想〜ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか?〜”です。
ではまず最初に“便利”とはいったいどういう事なのか?

本書では“便利=手間がかからず、頭を使わなくていい”と仮定して話は進んでいきます。
例えば、「甘栗むいちゃいました」というお菓子があります。食べる前に一つ一つ剥いて食べなければならなかった天津甘栗の皮が、あらかじめ剥かれている。消費者の手間を省いた便利な素晴らしい商品。ところが同じメーカーから「ねるねるねるね」というお菓子も出ています。こちらは食べる直前にお菓子を練り上げるという手間な作業をあえて消費者に行わせる便利というものさしで測れば、言語道断な商品のはずですが、こちらも人気商品というところを見ると“手間を省くこと=便利”がすべていいとも限らないのがわかってきます。
「ウォーリーをさがせ!」という絵本なんて、手間をかけて、頭を使ってウォーリーを探す、言い換えればあえて不便を楽しむ絵本だからこそ人気がある。ピクサーの映画「WALL•E」では、一般市民はすべてをロボットに任せて、生きていくために何もする必要がないという、究極の便利ライフが描かれていきます。その世界ではすでに無駄で必要のないものになっている仕事や、何かを成し遂げることに価値があるというメッセージが含まれていて、最短や効率を良しとする現代社会に対してのアンチテーゼになっています。

また東京都立川市にある「ふじようちえん」ではちょっとした不便をわざと作っているそうで、例えば電気はひもを引っ張って点けたり消したりする仕組みを取り入れ、水道も手を差し出せばセンサーで水が出るのではなく、自分でひねるって出させたり、戸もすべて引き戸で最後は少し力を入れないと閉まらないように設計されています。その理由として、「子どもにちょっとした不便を体験させることによって、工夫が生まれ、工夫することによって、育ちが出てくるものと信じています。(中略)便利さが豊かさだと仮定したら、豊かな時代は子どもの育ちにとって、ものの本質や道理を理解する事がむずかしい時代ともいえる。」と園長先生は語っています。

音楽の世界でも、レコードやカセットテープの人気が再燃しているという記事を目にしますが、アップルミュージックのような定額の音楽配信サービスなどが登場し、安価で気軽に音楽を聴ける状況ができたのに、逆に音楽を楽しむ人が減っているそうで、ありがたみが減ると、人は離れていってしまうのではないか?という問いかけにはとても共感してしまいました。そういう「ありがたみ」という観点からも、曲をスキップできなかったり、A面からB面に変えないといけなかったりと不便が多いからこそ、音楽の楽しさを再認識する人が増えてきたのかもしれません。

最後にぼくが知っている不便益をひとつ。
人間は手で記憶するそうで、何かを覚えるには文字を書く事が一番効率がいいそうです。この原稿もキーボードで入力していますが、キーボードだと脳は位置情報だけしか判断ができないため、タイプした言葉や知識は記憶されにくいようです。たしかにググった事やネットで調べたことはその瞬間は覚えているけれども、時間が経つと、、、。
日々不便を感じる事はありますが、その不便は手間だが役に立つ事なのかもしれません。

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