NN PROJECT

新しい分かり方

新しい分かり方

Life work

2017

今回ご紹介する推薦書、“新しい分かり方”は、先ずそのタイトルに惹かれてしまいました。
バザールでござーる、だんご3兄弟、ピタゴラスイッチ、0655……。30年間、表現と教育の分野で、「伝える」方法を追究し続けてきた著者の佐藤雅彦氏。そのマイルストーンとなる1冊。50数点の作品と解説エッセイで、「分かる」ことの喜び、楽しみを体感する本。「分かる」とは、人生が広がることだと実感できます。

著者は問いかけます。
みなさんは、生きていて、何が一番うれしいですか。この質問に対しての私の答えは、……ちょっと変わっているかもしれません。私は、自分が生きてて、一番うれしいこと、つまり、一番のやりがいのあることは、「ひとに何かを分かってもらうための新しい手法を考え出す」ことなのです。こどもたちに、この世の中には、こんな面白い考え方ややり方がある、ということを分かってもらうために、ピタゴラスイッチを作ってきました。アルゴリズムっていう面白い考え方を分かってもらいたくて、「アルゴリズムたいそう」や「アルゴリズムこうしん」を考え出しました。私は、ひとが何かを分かるとき、小さな『生きててよかった』が生まれると思っています。そして、分かった瞬間には、満足感と爽快感が混じり合った、なんとも言えない気持ちよさが得られます。つまり、自分が生きがいとしてずっとやってきた、分かってもらうための新しい手法の探求は、生きててよかったを生むための手法の探求でもあったのです。
本書には様々な視点で“わかる”という行為を解説していきます。〜出版社からのコメント抜粋
たとえば、
文章というものは、つらつらと先へ先へと連なっていく。まるで一本のまっすぐな紐のように先へ先へと伸びていく。未来に向かって進んでいく時間のように、自分で自分の道を開拓しつつ自分の道を進んでいく。たとえ、行換えしたとしても、みなさんはそこで切れてしまっているとは思わない。意識はまったくせずに一番右の文字と次の行の一番左の文字は繋がって読めている。あたりまえのことすぎて、ご自分がやっているそのことを私がこのように指摘したとしても何のことを言い出したのかいぶかしく思うほどかも知れない。でも、みなさんがやってくれている「繋げて読む」ことは、実は、もっと力が強く、一番右の文字と次の行の一番左の文字を繋げるだけにとどまらない。
たとえ、一番左でなく、途中でそれが起こっても、みなさんの眼は、その先を捜し

              て一瞬放浪する。この場合、切断されている「し」と「て」の間の数行を私たちの眼は
隈無く見ることはしない。まるで、「し」と「て」を見えない紐が繋げているかのように見え、そのラインだけを自然に追っかけている。

という具合に、この本にしか存在しない空間で「新しい分かり方」を教えてくれる。
また、「同じ情報、違う価値」という章では、絵本を読んでいる子供と小鬼のイラストが描かれていて、
子供は笑っていて、小鬼は泣いている。このイラストから彼らが何を読んでいるのかが想像でき、また同じ情報なのに受けてによって違う価値になってしまうことを教えてくれます。
会社の同僚、友人、家族ですら同じ情報でも立場によって違う受け取りをしてミスコミュニケーションになってしまう事がありますが、本書は「分かる」という意識しないで行なっている事を新しく分からせてくれます。
著者の言うように、ちょっとした満足感や爽快感を感じさせてくれる不思議な本。ぜひ秋(東京は秋を飛び越えて冬の気配)の夜長にオススメです。



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